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一降霊術師の日乗 #81

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一降霊術師の日乗 #81

2023年3月9日(木)於遠野

sasakill.eth|佐々木大輔
Mar 9
8
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一降霊術師の日乗 #81

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いつも会員向けに配信している「日乗」を、今日は全体向けに配信してみます。

To, Nup & FamiliarsというNFTを所有している方であれば、特別会員申し込みフォームにメールアドレスを入力いただくことで閲覧可能になります。


遠野滞在7日目。午前6時半起床。母の作った朝食をいただいた後、着替えてすぐ畑へ行き、リンゴの木の定量化の続き。184本すべてを撮影し、状態を記録し、IDとアドレスを振る。

field idとtree idとaddress

後、剪定の続き。矮化されていない古木は大きく、節くれだっており、そこに脚立をかけて剪定はさみと剪定のこぎりを振るう。

その間、いつものポッドキャストは聴き尽くしてしまい、宮本さんおすすめの「スナック縁側」に耳をすます。一時間を超える長時間のプログラムも、農作業にはちょうどよい。そうするうちに太陽がいい角度になってきて、汗が吹き出してくる。初日は最高気温6度で雪もちらついていたのが、今日は14度まで上がるという。啓蟄の頃に植物の胎動を感じながら屋外にいるのは実に気持ちがよい。

こうして、一時間半ほどで1本を終えられる。

80年くらい経っている古木

剪定をしながら何日も木とミクロに向き合っていると、普段なら遅すぎて感じられない「木の時間」がわかるようになってくる。「花の時間」と同じように、芽吹いて咲いて枯れる様子が枝のひとつひとつからわかる。

10時。開店と同時に「踊鹿温泉 天の湯」へ。今日はあたり。農作業を終えて休みに来られたご老人たちによる、遠慮の一切ない地域のなまりによる名調子のかけあいが聞けた。「はぁ」「まんつ」「じゃじゃじゃ」「あいや」「なんと」といった意味のあまりない言葉の使い方が実に音楽的。ポッドキャストの編集していると、言葉に詰まったときに出てくる「あの」「えーっと」というフィラーにもリズムのうえでは重要な役割があることがわかるが(取り除くと会話のテンポが非常に悪くなることでそれがわかる)、天候と湯加減の話だけで10分も会話が継続できる理由は、それが意味の交換ではなく音楽の交歓であることを示している。いつかあれを「温泉民俗楽」として録音して聞かせたいと思っているのだが、「あれ」はおそらくマイクを向けた途端に消失してしまうんだろうな。

今日の水風呂はいつもより冷たい13度。トロっとした水質のなかに、痺れるようなキレがある。実にいい。一時間ほど温冷交互浴をし、ランチとして休憩所で手作りのおにぎりを購める。

書斎に戻り、12時から17時45分まで会議。間には資料まとめ。重要な洞察を得たり、前進するための決定を行ったり。

今回の滞在から、ホテルにあるような小さな冷蔵庫を導入したのだが、淹れたてのコーヒーも冷たいドリンクも飲み放題なのはオンライン会議が連続する際の気分転換として実に満足度が高い。

西向きの納戸を片付けて仕事部屋にし、帰省の度に改造

その後、歩いて悦雄おじさんのところに行き、薪ストーブにあたりながら今年のリンゴ作りについてあらためて打ち合わせ。鹿よけのネットをどうはるか、農薬を使わずにしかし病気をさけて収穫するにはいつがよいか、などなど。

午前中は農作業で、午後は仕事。ふと気になって「アグリケーション」という言葉が存在するかどうか検索してみると、あるにはある。しかしそれだと「ワーク」の要素がないので「アグリワーケーション」とか呼ぶらしい。何日も滞在して、やっとそのリズムを見つけられたような気がする一日だった。

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