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クラウドファンディングのECサイト化というトレンドに付け加えるかたちで、一方でまた「ブログ化」あるいは「ニュースレター化」もしているということを書きつけておきたい。
タイプA: エンゲージしてから、コンバージョンする
これがいわゆるクラウドファンデイングで、まずブログやSNSやYouTubeなどのソーシャルメディアを駆使してユーザーとの結びつき(エンゲージ)を作り、その後、プロジェクトを支援するためのお金を支払ってもらう(コンバージョン)。
タイプB: コンバージョンしてから、エンゲージする
それに対して、まずプロジェクトを支援してもらい、その後、クラウドファンディングプラットフォームが用意するブログ機能やニュースレター機能を起点にソーシャルメディアでユーザーとの結びつきを深めていく方法が増えているんじゃないかと思う。
個人的な観測の範囲で、具体例をふたつ示す。
前者は、このコロナ禍のなかで立ち上がったプロジェクトで反射神経的に支援したものだが、その後、毎日のように更新されるアップデート(参考事例)をメールで受け取るうちに、それを見るのが楽しみになった。
後者もコロナ禍のプロジェクトだが、リターンが非常にお得なのに驚いて即決した。注目はその後で、リターンの提供が終わった後でも、支援者が関心を持ちそうな情報を定期的に更新・送信し続けている(参考事例)。
私にとって、これはいまやクラウドファンディングというよりもブログであり、ニュースレターだ。それもとびきり有益な。
一度コンバージョンしたユーザーと長期的な関係を築きたいと考えるのは当然のことなので、このブログ化・ニュースレター化はあたりまえのことで、ことさら特筆すべきことでもないのかもしれない。プロジェクトオーナーのニーズがあるからこそ、プラットフォーム側はこうした機能をあらかじめ備えているわけだから。
けれど、今になってこうしたことが目立つように感じられるのにも理由がある。
コロナ禍でネガティブな影響を受けた事業者を支援するために、クラウドファンディングプラットフォームが手数料を低減あるいは無料化したことで、「成立したらプロジェクト開始」というタイプAではなく、「すでに成立しているプロダクトを買う」という、いわば冒頭で紹介したECサイト化されたタイプBが、説得力をもったストーリーと共に数多く提供され、それがユーザーに極めてポジティブに受け入れられたというのがそれ。
こうした利用方法は、事業者の視点で考えるとよくわかる。魅力あるプロダクトを持っていた場合に、noteをはじめてTwitterをはじめてInstagramをはじめてYouTubeをはじめてファンになってもらってそれからやっと買ってもらう、というのはまわりくどい。なんらかの方法で初期の注目を集める方法がある場合には、まず買ってもらってそれからメッセージをブログやニュースレターにし、いずれかのソーシャルメディアをフォローしてもらう。そのほうが手っ取り早いし、実践的だ。つまり真似がしやすい。
クラウドファンディングプラットフォームによる手数料優遇キャンペーンや、コロナ禍における注目はいずれなくなる。しかし、このタイプBには、応用可能なヒントがあるような気がする。たとえばクラウドファンディングのタイプBは、逆から言えば、購入からはじまるブログの(あるいはニュースレターの)タイプBとも言えるし、じゃあそれがnoteから感じるUXと何が違うのかということを深く考えてみるのもいいかもしれない。
追記 2021/12/11
「購入からはじまるブログ」というのがなんのことか、今ではもうちょっとわかる。それは「所有からはじまるメディア」と言い換えが可能で、Web3の要素で説明が可能だ。