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Gaming is the next baseballとはどういう意味か
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Gaming is the next baseballとはどういう意味か

「フォートナイト」がAppleに対して負けのない戦いを挑んだ日に

sasakill.eth|佐々木大輔
Aug 14, 2020
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Photo by Francesco Ungaro from Pexels

どういう意味もなにも、自分以外に「Gaming is the next baseball」というフレーズを使っている人はいまのところいないので問いの押し売りみたいなものだけど、今日はそれを書き留めておくのにちょうどよさそうな日なのでそうする。

まず最初に[baseball]を、次にGamingを説明するところからはじめる。

[baseball]とはなにか

言わずと知れた野球も、その楽しまれ方をあらためてリストアップしてみると、いかに深く社会に浸透しているかということに気づかされる。

  • 草野球

  • プロ野球観戦(会場で、テレビで、スマホで)

  • 甲子園をはじめとするアマチュア野球(観戦とプレイと両方)

  • キャッチボール

  • 各種の野球ゲーム(ビデオゲームからボードゲームまで)

  • 野球カード

  • 選手のゴシップ

などなど。

スポーツというとまず自らプレイするものを思い浮かべるが、野球のように発展したものはプロアマ問わずそれを観戦することが大きな楽しみになるし、キャッチボールやゲームのようにエッセンスの一部だけを抽出したものもまた楽しい。さらに、野球にまつわるモノをコレクションしたり、選手の活躍や噂を交換することが人々のコミュニケーションの潤滑油になったりする。

というわけで私がいう[baseball]というのは、あるスポーツが社会的文化的に広く浸透している状態のことを指す。またそれはヨーロッパであれば[fooball]、インドであれば[cricket]のように、ところによって代入するものが変わってもよい。

Gamingとはなにか

日本語の文脈においても「ゲーム」と書かずあえて「Gaming」とするのは、以下のような楽しまれ方をそこに含めたいからである。

  • まずはもちろん自らがプレイすること

  • 仲間と集まりチームプレイをすること

  • 他者のプレイを見ること(ゲーム実況)

  • プロ選手、プロチームを応援すること

  • 戦略を開発したり、分析したり、それを発表すること

  • アイテムを集め、所有し、カスタマイズをしたり交換すること

  • 選手やメーカーのゴシップ

などなど、などなど。

[baseball]と同じか、それ以上に多くの楽しまれ方があり、それらはコンピューターとインターネットの恩恵を受けて過去40年、拡大し続けている。

Gaming is the next [baseball]とはなにか

つまりGamingは、[baseball]がいまそうであるように、社会的文化的に広く浸透しメディアやビジネスやコミュニケーションの間に充満している状態になっていく。そういうことを言いたくて私は2019年からこのフレーズを使いはじめた。

しかし、新型コロナの影響で[baseball]の衰退が加速し、同時に、Gamingの成長が加速した結果、今やほとんどそれが実現されたといってもいいような状態になった。だからこれからは、Beyond gamingなどと言わないといけないのかもしれない。

Beyond gaming

と、今日になって急にこんな話をしたのは「フォートナイト」を提供するEpic Gamesがアプリストアを運営するApple/Googleに喧嘩を売った記念日だからである(参照)。

これについては、プラットフォーム事業者の独占に対する抗議と受け取る向きがあるが、そうではないと思う。軒先を借りている人がオーナーに文句を言っているのではなく、「次は自分たちがプラットフォームになりますよ」と宣言しているのに等しい。

アプリストアを運営しているAppleやGoogleはもちろん、Oculusを運営しているFacebookも、Twitchを運営しているAmazonも、Gamingが次のフロンティアだと当然のように認識しているはずで、そうでなければ、Twitch PrimeをPrime Gamingに改名したりしない(参照)。Twitchというゲームのブランドから、Amazon本体のブランドに変更するのは、Gamingをエンターテインメントのいちジャンルから社会的文化的に広く浸透したものにする後押しとなるもので、まさにBeyond gamingな話である。

これからどうなる

今後、Epic GamesとApple/Googleの喧嘩がどうなるかというと、「フォートナイト」側がプラットフォームから追い出されても構わないという準備を整え、あらかじめ負け目を潰して挑んでいる以上、Apple/Googleがそう望んでも元の状態には戻らないだろう。そして、そのような戦い方が可能だと証明された後は、それに続く人が出てくるだろう。今日は、そんな不可逆な変化が起こった記念すべき日だったと後に振り返られることになるはずだ。

ちなみに私が2016年から2017年にかけて書いたSF小説『僕らのネクロマンシー』には、デジタルトレーディングカードゲームで生計を立てながら山奥に暮らすというBeyond gamingな集団が登場し、物語の最後ではゲームと現実が溶け合った場所が舞台となる。また、2017年からは、社員全員がトレーディングカードゲームのプレーヤーである会社「Sekappy」の顧問を引き受け、そのポテンシャルにワクワクしている。何が言いたいかというと、Gaming is the next [baseball]とかBeyond gamingというヴィジョンは伊達で言っているわけではないということ。

しかし、AppleのCM"1984"のパロディについては、私はダサいと思いました。

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