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#011 柳田國男の『遠野物語』をおもしろがる人々 [原典派] とその注釈
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#011 柳田國男の『遠野物語』をおもしろがる人々 [原典派] とその注釈

オリジナルの『遠野物語』をどこまでも深く読み込んでいく試みについて

こんにちは。ささきるです。シーズン2の最終回、第4話のテーマは「遠野物語の内側 ✕ 遠野市の内側」の領域である「原典派」。初稿三部作がまるごと収録された奇跡の出版物『原本遠野物語』(岩波書店, 2022年)の話を中心に、オリジナルの『遠野物語』をどこまでも深く読み込んでいく試みについて語っていきます。


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番組のキーワード

注釈 遠野物語
遠野常民大学の研究の集大成。出版は1997年。佐々木喜善が柳田に伝えた実際の出来事、人物、土地などを、全119話にわたって注釈を加えた作品。
https://www.amazon.co.jp/dp/4480857540

いま甦る原本遠野物語
2022年1月29日開催。『原本 遠野物語』の出版を記念してい開催されたイベント。登壇者には三浦佑之先生、小田富英先生。
https://tonobunka.com/news/986

原本三部作
いわゆる「自筆毛筆原稿」「ペン字清書原稿」「校正ゲラ」のこと。池上隆祐が柳田國男をから託された。1935年、折口信夫が再販された『遠野物語』のなかで「蟻地獄の様な書痴の人々の為に」といって後記に示したことで公にその存在が明らかにした。

やっぱり遠野物語は面白い
遠野文化研究センターの木瀬公二さんによる、『原本 遠野物語』出版に至るまでのサイドストーリー。この出版企画がいかに奇跡的に成立したかがよくわかる。
https://note.com/tono_culture/n/ne933844b99a8

『原本 遠野物語』岩波書店
その『原本 遠野物語』がこちら。試し読み部分で赤坂憲雄先生の「はじめに」が全文読める。A4、箱入り。5,500円。明らかに安い。原価がいったいどういうことになっているのかとても気になります。
https://www.iwanami.co.jp/book/b597622.html

柳田國男のレイアウト指示
文字の左端をセンターにもってくるように赤入れをしていることがわかる。

原稿用紙に書いている時点で、最終的な文字組みまで意識していたことわかる。

表紙に著者名がない
以下の写真の右にあるのが、2010年に復刻された初版のレプリカ(現在は絶版)。表表紙にも裏表紙にも柳田國男という著者名がない。ちなみに、左は私が柳田國男をリスペクトして書いた『僕らのネクロマンシー』(NUMABOOKS, 2018)。こちらは著者名どころかタイトルもない。

なおこの小説では、本文の版面も『遠野物語』に対するオマージュになっている。購入はこちらから。https://numabooks.thebase.in/items/9951580


アンカット本(フランス装)
小口を切り落とさないで製本した本。Wikipedia

池上隆祐
民俗学者、政治家。雑誌「石」の特装版を柳田に贈り、その後、原本三部作を預かった。

ウィリアム・モリス
イギリス。1834年〜1896年。アーツ・アンド・クラフツ運動で世界に大きな影響を与えた。メディアヌップ的に関係の深い名前をあげるとJ・R・R・トールキンや宮沢賢治。代表作のひとつがボタニカルデザインの壁紙。

以下は海野弘さんによる本『ウィリアム・モリス - クラシカルで美しいパターンとデザイン』(バイインターナショナル, 2013)。

小田富英
『柳田国男全集』(筑摩書房)の編集委員。『注釈 遠野物語』『原本 遠野物語』にも深く関わった研究者。
https://www.people.co.jp/oda/index.php/about

柳田國男の失われた日記
鎌田久子(1925年〜2011年)が預かり、その後、紛失した。該当の日記の内容は、岩手日報の1975年2月14日に記録が残っている。

口語訳 遠野物語(河出文庫, 2014)
佐藤誠輔さんの口語訳に、小田富英さんら遠野常民大学のメンバーによる「注釈」の成果が盛り込まれた本。
https://www.amazon.co.jp//dp/4309413056/

水木しげるの遠野物語(小学館, 2010)
独自の解釈で遠野物語の世界が展開される。終わりの方には、柳田國男の長男の妻である柳田富美子さんが登場し、遠野に移築された柳田の住居の一部と「緑蔭小舎」が登場する。
https://www.amazon.co.jp/dp/4091828795/

遠野物語remix 付・遠野物語 (角川ソフィア文庫)
京極夏彦さんによるリミックス。最初のハードカバー版が出たのは2013年。現在では、柳田國男のオリジナルとの両方が併録された文庫版が求めやすい。
https://www.amazon.co.jp/dp/4044083223/

関西弁で読む遠野物語(エクスナレッジ, 2020)
ポッドキャストのなかでは紹介しきれなかったが、民俗学者の畑中章宏さんによるこの本もおすすめしたい。兵庫県出身の柳田國男のなかでは遠野物語が関西弁で響くこともあったのではないかという着想が秀逸。
https://www.amazon.co.jp/dp/4767827264

PASSAGE
神田神保町の共同書店。「メディアヌップブックス」の初回搬入分はこちら。柳田國男の民俗学はもちろん、出版やデザインに関連した良書もご用意しました。

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次回もお楽しみに。

制作ノート

企画: ささきる
出演: ささきる, 宮本
編集: ささきる, 宮本
ディレクション: tel
制作協力: 株式会社Next Commons
2022年2月8日収録

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偏愛するコンテンツをメディアやビジネスの観点から紹介していくニュースレター&ポッドキャスト。Nupはアイヌ語で「丘原」の意味。どハマりした沼から這い出て、ちょっとだけ高くて平らなヌップからお届けします。