こんにちは。岩手県遠野市で企画・編集・執筆をしている宮本です。これまで雑談回に出演したり、シーズン2では聞き手を務めたりしていますが、ニュースレターでは初めての登場となります。
今回は雑談回。シーズン2「柳田國男の『遠野物語』をおもしろがる人々」 の内容や制作について、ささきるさんとtelさんと一緒に振り返りました。
このニュースレターでは、番組のなかで使われたキーワードに簡単な説明を加え、必要に応じてURLを記載しています。番組とあわせてお楽しみください。
番組へメッセージを投稿するフォームと、Discordのサーバーの招待URLは末尾に掲載しています。お探しの方は最後までスクロールしてみてください。
番組は、このニュースレターでもお聴きになれますし、Spotify / Apple / Google / Amazonでも配信しています。
シーズン2を振り返って
メディアヌップでは編集を担当している僕ですが、音声編集をするのは実は今回が初めて。また、遠野に住んでいるものの『遠野物語』をしっかり読んだことがなかったので、今回の配信を通して初めて知ったことが多くありました。
そこであらためて僕が今回のシーズン2を通して、やったこと・学んだことを「制作」と「番組の内容」それぞれの観点でまとめてみました。
[制作] Adobe Auditionを使った音声編集
メディアヌップで配信している音源は、Adobe Auditionを使って編集しています。Adobe製品のなかでも、とりわけ使い方を解説する本やウェブサイトが少ないAuditionですが、ディレクションを担当するtelさんに教わって、どんどんできることが増えていきました。
配信するエピソードは収録した後、音源をひとつのファイルにまとめ、ノイズを除去したり、ボリュームの調整をしたりするエフェクトをかけていきます。最初はぎこちなかった作業が身についてくると、すごく気持ちよくて。
特に、特定の周波数域の音質を調整する「パラメトリックイコライザー」はやればやるほど、沼にはまっていく感覚がありました。微妙な調整で音質が本当によく変わるんです。耳心地のよさの探求は奥が深いですね。
[番組の内容]『遠野物語』を4分類で考える
今回のシーズン2では、ささきるさんの提案のもと、『遠野物語』を「作品✕地理」の軸で4つの分類に分けて考えました。この4分類に分ける考え方がとても画期的で。社会派、創作派、観光派、原典派、それぞれで見え方が大きく変化しました。僕のお気に入りは社会派で、『遠野物語』から柳田國男、民俗学へ興味を持ちました。
「もう読まなくていいんです」と始まったシーズン2でしたが、ささきるさんとゲストの富川さん、はるっぴさんの話を聞いた後にはすごく読みたくなってしまって。僕はすでに『口語訳 遠野物語』(佐藤誠輔, 2014年)と番組内では登場しなかった『関西弁で読む遠野物語』(畑中章宏, 2020年)を手にとってしまいました。みなさんもぜひ番組を聞いた後で、気になったところから『遠野物語』に触れてみてください。
それでは、長くなりましたが、ここからが番組で出たキーワードの紹介です。
番組のキーワード
ディレクションと音声編集
メディアヌップ・シーズン2では、全体のディレクションをtelさんが行いながら、編集は宮本が(エピソード1、4はささきるさんも)担当。僕は今回が初めての音声編集でした。
ビルドゥングスロマン
教養小説と訳される、主人公の成長や人間形成の過程を描いた小説のこと。
「自分の耳を信じて」
シーズン2の配信音源作成中に、telさんから宮本へのアドバイスとして投げかけられた言葉のひとつ。音声編集は数字にとらわれすぎず、自分の耳の感覚を頼りに心地よい調整をかけることが大切。はじめは認識できなかったノイズも、回数を重ねるごとに気づけるようになって、だんだんと頼りがいのある耳になってきました。
ヘッドホン「MDR-7506」
ささきるさん、telさん、宮本が使っているソニー製のヘッドホン。通称、青帯。
https://www.sony.jp/pro-audio/products/MDR-7506/
リバースエンジニアリング
製品の分解や解析を行い、設計や構造、技術情報などを明らかにすること。telさんの編集を分析すると、BGMの切り替えが11秒に設定されていることがわかりました。
『ロードス島戦記』と『遠野物語』の共通点
配信をした後で、気づいたふたつの共通点は「語りと書き言葉の間」の物語であること。『ロードス島戦記』は、会話で物語を完成させるTRPGから始まった作品。『遠野物語』は佐々木喜善が話した逸話や伝承を柳田國男が文章にした作品。
マーシャル・マクルーハン
1911年生まれ。カナダの英文学者、メディア・文明批評家。「the medium is the message(メディアはメッセージである)」などの主張でメディアの特徴を表現したことで知られています。『メディア論』(1987年)の著者。
TRPGを実際に体験
シーズン1「あなたの知らないロードス島戦記の世界」の全エピソードの配信が終わった後、メディアヌップのDiscordに参加している希望者の中で実際にTRPGをプレイしました。ちなみに僕は参加できていません。遠野物語TRPGやりたい。
語り部
昔話や民話などを語り伝える人のこと。遠野では、「遠野昔話語り部の会」や「『語り部』1000人プロジェクト」があり、語り部が身近な存在です。
ゴールデンカムイ
明治末期の北海道・樺太を舞台に、金塊をめぐるサバイバルバトル漫画。作中では、食事や狩猟などの場面でアイヌの伝統や歴史、文化が度々紹介される。すごく面白いのでおすすめです。
おもしろフラッシュ倉庫
「Flash黄金時代」と呼ばれる2000年代前半に、Flashアニメーションを掲載していたウェブサイト。僕がよく見ていたのは「赤い部屋」と「千葉!滋賀!佐賀!」。小学生の頃、雨の日の昼休みはコンピューター室でおもしろフラッシュ倉庫を見るのが流行ってました。
ゲゲゲの鬼太郎
TVアニメ第一期の放送開始は1968年1月3日。これまで全6シーズン・500話以上が放送されています。それを3〜4ヶ月で駆け抜けた、ささきるさんの息子さんすごい……!
SCP財団
自然法則に反した存在・物品・場所を取り扱う架空組織の名称。また、その共同創作を行うコミュニティサイトのこと。サイト内では、自身が作った創作物(オブジェクト)を「特別収容プロトコル(オブジェクトの説明、収容方法を記載したもの)」と共に書き込む。オブジェクトの名前は数字で管理されている、そうです。僕は今初めて知りました。
みなさまからのメッセージをお待ちしています
メディアヌップでは、リスナーのみなさまからのメッセージを募集しています。以下のフォームからお送りください。
https://forms.gle/L6HbzjZC7QKkMY4F9
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https://discord.gg/eQxsZgpHHX
次回もお楽しみに。
制作ノート
企画: 宮本
出演: ささきる, tel, 宮本
編集: 宮本
ディレクション: tel
2022年3月8日収録
#013 [反省会] 柳田國男の『遠野物語』をおもしろがる人々