Mar 2 • 46M

#008 柳田國男の『遠野物語』をおもしろがる人々 [社会派] とその注釈

シーズン2です。遠野出身のささきると遠野在住の宮本が4回連続でお送りします。

 
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偏愛するコンテンツをメディアやビジネスの観点から紹介していくニュースレター&ポッドキャスト。Nupはアイヌ語で「丘原」の意味。どハマりした沼から這い出て、ちょっとだけ高くて平らなヌップからお届けします。
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こんにちは。ささきるです。今回からシーズン2の配信開始です。テーマは柳田國男の『遠野物語』(1910年)。遠野出身のささきる(@sasakill)と遠野在住の宮本(@cfyhdvj)が、『遠野物語』をおもしろがる切り口を4回連続で紹介していきます。

エピソード1のテーマは、「遠野物語の内側 ✕ 遠野市の外側」の領域である「社会派」。グローバリズムのなかの『遠野物語』、文学史のなかの『遠野物語』などについて語っていきます。


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番組のキーワード

柳田國男
1875年〜1962年。兵庫県の松岡家に生まれ、若い頃は詩人・松岡國男として知られる。26歳になる年に柳田家の養子となり、以後、柳田國男。翌年、法制局参事官となる。1910年、35歳になる年に『遠野物語』を出版。87歳で没するまで多数の著作を残し、今日でも重版され続けている知の巨人。決定版の年譜は『柳田國男全集 別巻1』(小田富英, 2019)。

100分de名著 遠野物語
石井正己先生による解説。全4話。第1話はこちら

遠野市
岩手県遠野市。人口約2万5千人(2022年1月時点)。柳田國男が訪れた1909年には全域を上閉伊郡と呼び、宿をとったのは遠野町、話者の佐々木喜善を訪ねたのは土淵村。遠野市の発足は1954年。2005年には上閉伊郡宮守村と合併し、現在の新制・遠野市に。

奥州市
人口約11万人(2022年1月時点)。2006年に水沢市・江刺市・前沢町・胆沢町・衣川村が合併して発足。古代には大和朝廷から「日高見国」と呼ばれた一帯。アテルイと大谷翔平の出身地。

第一次世界大戦
1914年〜1918年。ちなみに、スペイン風邪の世界的な流行は1918年から1920年にかけて。

第一次グローバル化のピーク
1880年頃から第一次世界大戦がはじまる1914年までとされる。出典は「Globalization in Historical Perspective」(Michael D. Bordo, Alan M. Taylor & Jeffrey G., 2003)による。

『平和の経済的帰結』(J.M. ケインズ, 1919)
番組中で引用したのは次の一節。

1914年に終わりを告げたこの時代は、人間の進歩の中でなんという異例のエピソードであったことか! …ロンドンの住人は、ベッドで朝の紅茶をすすりながら、電話で全世界のさまざまな産物を注文することができた。同じように、 彼は自分の富を、世界の天然資源や新事業の投資に好きなように振り向けることができたし、 少しも心煩わせることなく、その果実や利益の分け前にあずかることができた。

この書を外国にある人々に呈す
『遠野物語』の冒頭に掲げられた有名な献辞。

第九九話
1896年の明治三陸大津波に関連した話。東日本大震災以後にあらためて注目された。読んだ人に忘れ得ない印象を残す『遠野物語』のなかでも特別な一編。

『怪談前後 柳田民俗学と自然主義』(大塚英志, 2007)
柳田國男の民俗学が本格的に起動していく以前、「怪談の時代」のなかから「自然主義」のひとつの実践として『遠野物語』が生まれていく様子を丁寧に追っていく論考。名著。

『布団』(田山花袋, 1907年)
『遠野物語』より3年前に刊行された私小説の元祖と呼ばれる作品。島崎藤村の『破戒』(1906年)とあわせて自然主義文学の代表作と呼ばれる。しかし柳田はこれを批判する。ちなみに、夏目漱石の『坊っちゃん』はこれらとほぼ同年にあたる1906年に発表されている。

これを語りて平地人を戦慄せしめよ
『遠野物語』の「序」に記されたこれもまた有名な一節。平地人に対応するのは「山人」だが、このときの柳田はまだ“まつろわぬ民”としての山人の存在を東北の山奥に幻視していた。

雑誌『民族』
柳田國男と岡正雄のふたりによって、大正末から昭和初年にかけて運営された雑誌。柳田は雑誌でターベースを作ろうとした。関連リンクとして『民族』時代における柳田民俗学の組織化に関する基礎的研究(鶴見, 2013)。

『社会を作れなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門』(大塚英志, 2014)
「ソーシャル」も「社会」も元は「Social」の一語であるはずだが、私たちはそれを器用に、あるいは奇妙に使い分けている。前者は、簡単に言えば「人とのつながり」程度の意味で、「ソーシャルメディア」というときのソーシャル。一方、後者は「二人以上の人間が集まったときの、このような暮らしを営んでいこうじゃないかという合意」のようなもの。この本は「このような合意なしに、つながりだけが過剰になっていく世界」について考えるきっかけと、柳田國男を今日アクチュアルに読んでいくための視点が提供する。おすすめ。

おまけ

私が2020年に『遠野物語』についてプレゼンテーションしたときの動画最初にして最少の『遠野物語』を読む勉強会」です。資料にあまい部分があり見返すと恥ずかしいのですが、関連動画として掲載させていただきます。

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次回もお楽しみに。

制作ノート

企画: ささきる
出演: ささきる, 宮本
編集: ささきる, 宮本
ディレクション: tel
制作協力: 株式会社Next Commons
2022年2月8日収録